人生設計・生き方から考える

「辞めたい」の奥にある、本当の願い

やりたいことがないのに辞めたい。この違和感の正体は、「今の生き方でいいのか」という問いであることが少なくありません。価値観から働き方を考える方法をまとめます。

結論から

「やりたいことがないのに辞めたい」と感じるとき、本当の問いは「今の生き方でいいのか」であることが多くあります。この場合、転職や独立という手段から考えても答えは出ません。まず自分が大切にしたい価値観を言葉にし、そこから逆算して働き方を選ぶと、辞める・続けるが手段として見えてきます。やりたいことは探して見つけるより、動きながら育つものです。

「特にやりたいことがあるわけじゃない。でも、このままでいいとも思えない」——辞めたい気持ちの中でも、この感覚は言葉にしづらく、誰にも相談しにくいものです。給料に大きな不満があるわけでも、人間関係が最悪なわけでもない。それでも心のどこかで「本当にこの生き方でいいのか」という声がする。この記事では、その違和感の正体を見つめ、生き方から働き方を考え直す方法を、意思決定支援の視点で整理します。

「やりたいことがないのに辞めたい」のはなぜか?

不満ではなく、問いが生まれている状態

窓の外を見ながら自分の生き方について考える日本人

「やりたいことがないのに辞めたい」という状態は、多くの場合、明確な不満から来ているのではありません。むしろ、「このままの延長線上に、自分が心から望む未来があるだろうか」という問いが生まれている状態です。これは危機ではなく、自分の人生を主体的に生きようとするサインでもあります。

問題は、この問いに「転職しようか」「独立しようか」という手段から答えようとしてしまうことです。手段から入ると、「転職しても同じかもしれない」「独立する勇気もない」と堂々巡りになります。順番が逆なのです。まず「自分は何を大切にしたいのか」という価値観を先に言葉にすると、そこから手段が見えてきます。

ミッション策定の支援をしていると、多くの人が「やりたいこと」を探そうとして行き詰まります。でも本当に見つけるべきは、やりたいこと(What)よりも、なぜそれをしたいのか(Why=価値観)のほうです。Whyが定まると、Whatは後からいくつも見つかります。順番を間違えないことが大切です。

— 原本 昌悟

自分が大切にしたい価値観は、どう見つけるのか?

ノートに自分の価値観を書き出して整理する日本人

価値観は、頭で考えて生み出すものではなく、これまでの経験の中から掘り起こすものです。次の問いに、思いつくまま書き出してみてください。正解を出そうとせず、素直に感じたことを言葉にするのがコツです。

  • これまでで、時間を忘れて没頭できたのはどんなときか
  • 「これは絶対に嫌だ」と強く感じるのはどんな状況か
  • 誰かに感謝されて、心から嬉しかった経験は何か
  • お金や時間が十分にあったら、何に使いたいか
  • 10年後、どんな自分でありたいか(肩書きではなく、状態で)

書き出したものを眺めると、繰り返し出てくるテーマや、共通する感覚が見えてきます。それがあなたの価値観の核です。たとえば「人の成長に関わりたい」「自由に決められる状態でいたい」「創造的なことをしていたい」——こうした軸が見えると、今の仕事がその軸に合っているか、ズレているかを判断できるようになります。

価値観から、働き方をどう設計するのか?

人生設計の地図を描きながら将来を計画する日本人

価値観が言葉になったら、それを軸に「今の働き方」と「望む働き方」を照らし合わせます。ここで初めて、転職・独立・現職継続といった手段が、価値観を実現する道具として意味を持ち始めます。同じ「辞めたい」でも、進む方向が違えば選ぶ手段は変わります。

大切にしたい価値観の例手段として合いやすい方向
自分で決められる自由さ独立・フリーランス、裁量の大きい職場への転職
人の成長・貢献の実感教育・支援に関わる仕事、社内での役割転換
安定と家族との時間労働環境の良い職場への転職、現職の働き方調整
創造・表現をしていたいクリエイティブ職への転換、副業からの独立

この表はあくまで例であり、正解ではありません。大切なのは、「手段(辞める・転職・独立)」から考えるのではなく、「価値観(どう生きたいか)」から手段を選ぶ、という順番です。この順番で考えると、「辞める」という結論になっても「辞めない」という結論になっても、自分で納得して選んだ実感が残ります。

やりたいことは、探せば見つかるのか?

小さな行動を始めて前に進む日本人のイメージ

最後に、「やりたいことが見つからない」と焦っている方へ。やりたいことは、じっと考えて探し当てるものというより、小さく動きながら育っていくもののほうが多いのが実感です。頭の中で完璧な「天職」を探し続けても、たいてい見つかりません。むしろ、少し気になったことを試し、その反応から「もっと知りたい」「これは違う」と分かっていく。その積み重ねの先に、やりたいことの輪郭が現れます。

だからこそ、「やりたいことが決まってから動く」のではなく、「動きながら見つける」姿勢が役立ちます。副業で試す、興味のある分野の人に会う、小さなプロジェクトに参加する——生き方を変える一歩は、いつも小さな行動から始まります。当相談室では、あなたの価値観を言葉にし、そこから次の小さな一歩を一緒に設計するお手伝いをしています。私たちノルツは「志す人に、道を通す。」を掲げ、その人の内側にある願いを起点に道を描くことを大切にしています。

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