職場に合わない人がいて辞めたくなるのは自然なことです。ただし「嫌いな人が理由の退職」は、自分が去りその人が会社に残る——つまり結果として「その人のために辞める」構図になります。合わない人は退職理由から外し、働き方・お金・生き方など他の理由で判断するのが、後悔しない考え方です。この記事では、この判断軸に至った実体験と、辞める前に確認すべきことを解説します。
「あの人と顔を合わせるのがつらい」「あの人さえいなければ、この会社は悪くないのに」——職場の人間関係、特に特定の「合わない人」の存在は、仕事を辞めたくなる大きな理由のひとつです。この記事は、原本 昌悟自身が会社員時代に同じ悩みを抱え、そこからたどり着いた「合わない人のために退職するのだけはやめよう」という判断軸を、実体験に基づいてお伝えするものです。
職場に合わない人がいて辞めたいのは、おかしいことか?
おかしいことではありません。原本 昌悟も会社員時代、反りが合わない人・嫌な人が職場にいて、仕事に行くこと自体が苦痛だった時期があります。毎日顔を合わせる相手との関係がこじれると、仕事の内容そのものに不満がなくても、会社全体が嫌になってしまう——これは多くの人が経験する感覚です。
ここで一つ知っておきたいのは、「自分が合わないと感じる相手は、相手も同じように感じている可能性がまあまあ高い」ということです。つまり、その人は「みんなから嫌われている人」とは限らず、単に「自分と相性が悪いだけの人」であるケースも多いのです。相性の問題だと捉え直すと、「自分が我慢すべきか」「相手が悪いのか」という白黒の議論から少し距離を置けます。
合わない人がいるのは、自分に問題があるからなのか?
自分に問題があるからではありません。「相性」は双方向のもので、どちらか一方だけが原因ということは考えにくいものです。真面目な人ほど「自分がもっとうまく付き合えれば」「自分の器が小さいのでは」と自分を責めがちですが、相性の合わない人は、確率の問題としてどの職場にも一定数現れます。今の職場でたまたまその人と近い距離になっただけで、あなたの人格や能力の問題ではないのです。
この前提に立つと、考えるべき問いが変わります。「どうすればあの人とうまくやれるか」ではなく、「あの人との関係に、自分の人生の決断をどこまで影響させるか」。この記事で紹介する判断軸は、後者の問いに対する一つの答えです。
なぜ「嫌いな人が理由の退職」は後悔しやすいのか?
嫌いな人が理由で退職すると、「自分が去り、その人は会社に残る」という結果になります。原本 昌悟が会社員時代に気づいたのは、まさにこの構図でした。ここで自分が辞めたら、合わない相手は会社に残り、(自分がいなくなることで)相手の環境はむしろ良くなる。それは実質的に「その人のために辞める」ことと同じではないか、と。
その人のために退職するのだけはやめようと思って。嫌な人のために会社を辞める、それは辞めよう、と決めました。
— 原本 昌悟(会社員時代の実体験より)この気づき以降、原本 昌悟は「合わない人のために退職しない」という判断基準を持つようになりました。自分の人生の大きな決断である退職の「決定権」を、嫌いな相手に渡さない、という考え方です。辞める・辞めないは、あくまで自分の働き方や生き方を軸に決める。合わない人の存在は、その判断材料から意識的に外すのです。
「嫌いな人が理由の退職」と「自分の理由の退職」は、辞めた後の感覚にも違いが出ます。両者を比べると次のようになります。
| 嫌いな人が理由の退職 | 自分の理由の退職 | |
|---|---|---|
| 決定権 | 実質的に相手が握っている | 自分が握っている |
| 辞めた後の感覚 | 「あの人のせいで辞めさせられた」が残りやすい | 「自分で選んだ」という納得感が持てる |
| 次の環境選び | 「あの人がいない場所」が基準になり、軸があいまい | 働き方・生き方の軸で選べる |
職場の合わない人とは、どう付き合えばいいのか?
原本 昌悟がたどり着いた対処法は、合わない人を「自分の理解の範疇の外」に置く、というものです。相手を変えようとしたり、なぜ合わないのかを突き詰めて考えたりするのではなく、「この人は自分には理解できない存在」と割り切って、気にしないようにする。それがベストだと考えています。
もちろん、まったく気にならなくなるのは簡単ではありません。そこで最低限のラインとして「少なくとも退職理由にはしない」と決めておくのが現実的です。整理すると、次の2段階になります。
- 理想:合わない人は「理解の範疇の外」として割り切り、気にしない
- 最低限:気になってしまっても、その人を「退職理由」にはしない
この線引きをしておくと、日々のストレスは残っても、「人生の決断がその人に振り回される」ことは避けられます。「割り切る」というと冷たく聞こえるかもしれませんが、これは相手を否定することではありません。理解できない相手を無理に理解しようとして消耗するより、「合わない人もいる」という事実をそのまま受け入れて、自分のエネルギーを自分の仕事と人生に振り向ける——そのための考え方です。
人間関係で辞める前に、何を確認すればいいのか?
「合わない人を退職理由にしない」と決めたうえで、それでも辞めたい気持ちが残るなら、その理由を切り分けて確認することをおすすめします。当相談室では、辞めたい理由を次の順で整理することを提案しています。
- 「その人がいなければ辞めたいか?」を自問する:合わない人の存在を除いたとき、この会社・この仕事を続けたいか。答えが「続けたい」なら、辞める前に環境調整を考える余地があります。
- 環境を変える手段を洗い出す:部署異動・席替え・業務分担の変更など、相手と距離を取る社内の選択肢を確認します。
- 人間関係以外の辞めたい理由を書き出す:働き方・給与・仕事内容・生き方など、その人と無関係な理由がどれだけあるかを整理します。
- 残った理由だけで判断する:合わない人を除いた理由が十分に重いなら、それは前向きな退職検討のサインです。
「辞めたい理由が人間関係なのか、それ以外なのか、自分でも分からない」——そんなときは、話しながら切り分けるのが近道です。
無料で相談してみるそれでも辞めたいときは、どう考えればいいのか?
上の整理をしても辞めたい気持ちが残るなら、それは「嫌いな人から逃げる退職」ではなく、「自分の理由で進む退職」に変わっています。同じ退職でも、この違いは大きいものです。嫌いな人を理由に辞めると、「あの人のせいで辞めさせられた」という感覚が残りやすい一方、自分の理由で辞めれば、次の環境選びの軸も明確になります。
大切なのは、辞める・辞めないの結論そのものではなく、「決定権を自分の側に取り戻すこと」です。合わない人はどの職場にも一定の確率で現れます。だからこそ、「合わない人を退職理由にしない」という判断軸は、今回だけでなくこの先のキャリアでも使える考え方になります。
辞めるべきかどうかの全体的な判断基準や、辞めた後の選択肢については、次のページで詳しくまとめています。
